グローバル社会で活躍するにはどのような力が必要なのでしょうか。まず、コミュニケーション手段としての英語力が不可欠です。しかし、ただ英語が話せれば十分というわけではありません。口頭でのやり取りだけではビジネスは成り立ちません。大事な契約や約束は文字にして残さなければなりません。どんな仕事をするにしても、伝えるべき内容が専門的になればなるほど、抽象的になればなるほど、文字で書かれたものを通して情報や考えのやり取りをしなければなりません。したがって音声だけでなく、文字でのやり取りも含めて、情報の伝達に関わるすべての力をつけることが大切です。そのため大手前では、読む・聞く・書く・話すの四技能のバランスを考えたカリキュラムを実施しています。
加えて、豊富な単語力も大切です。ある物、事柄、現象などを表す言葉を知っていると、それについての情報や考えを受信したり発信したりすることが容易になるからです。また、人間は言葉を使って考えます。単語を知っていると、知識が広がり、考えや理解も深まります。しかし、ただ単語を並べるだけでは、正確なコミュニケーションや複雑な思考は行えません。それら一つ一つの単語を文としてつなげ、全体としての意味を決めるのが文法や構文で、それらを習得することも必要です。そのため大手前では、中学時にまずしっかりと文法と構文を身につけ、高校時では単語力を増やしながら演習を重ねていきます。
英語科では、ICTを活用した授業も積極的に行っています。例えば、電子黒板の導入により長文の解説がスムーズになりました。和訳や英作の演習も、ロイロノートを使うことにより提出や添削が容易になっています。ICTを使ってこのように効率化するだけでも、演習量の増加につながります。また、インターネット上にある記事や動画を教材に使うことにより本物の英語に触れられる機会が増えています。今年度は、AIによるスピーキング練習も計画しています。
本校では中1・2で中学校英語を履修し、中3で高校英語の構文を学びますが、その時期に徹底して例文暗写を行います。特に中1・2では、ほぼ毎日、例文の暗写テストを行います。中3では、例文の暗写も重視しながら、文法の理解や単語の習得も問うテストを、ほぼ毎週行います。授業の解説を通して「頭」で理解した上で、暗写を通して「体」で身につけた英語力は、後に大学入試問題の演習を始めた時に大きな力となって表れます。
自主的に取り組める特別授業や個別の課題添削も行っています。昨年度は、中学1年生の希望者を対象に、受験する英検の級に合わせて特別演習を行いました。中学2年生は、希望者が放課後集まって長文読解の特別授業を行いました。中学3年以上では、それぞれの教員が用意した添削課題に定期的に取り組む生徒がたくさんいます。普段の授業より難しい内容に自主的に取り組み、細かい指導を受けることで、さらに力を伸ばすことができます。