春の大手前🌸《TSUNAGU》

更新日:2025年04月12日

(このページはTSUNAGUの生徒が作成しました。)

 4月、新年度を迎え、心地良い気候も相まって新鮮で清々しい雰囲気が漂っていますね。
 皆様、春の花々や若葉はよく見ましたか。お花見や久しぶりの散歩に行った方もおられると思います。大手前にも沢山の花や生えたての葉が見られました。一部ではありますが、お見せしていきます。

 まず目に飛び込んできたのは、満開の桜です。
 生徒通用門には数本のソメイヨシノが植栽されています。ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの交雑種で、ソメイヨシノ同士で種子を作ることができません。ですからソメイヨシノのほどんどの個体は接ぎ木などで増やされたクローンです。


 運動場の奥側には、ヤマザクラも植栽されています。ヤマザクラは交雑種ではなく、元から日本に自生する野生種です。ソメイヨシノと違って花と葉を同時に展開していますね。

▽ヤマザクラ


 ヤマザクラの新芽は鮮やかな赤色をしています。

 この赤色はアントシアニンによるもので、まだ若く弱い葉を日光から保護したり、日光の吸収量を抑える(=光合成を抑制する)などのために合成されると考えられています。人間で言うとサングラスのような役割も持っているということです。

 ですから紅葉などの現象や新芽に限らず、様々な植物でも、何らかのストレスが加わると、体内バランスが崩れ、光合成の量を減らす必要がある可能性が出てくるので、アントシアニンの合成が促進され葉の一部が赤色などに変色することがあります。


 種によって花や葉の色が違いますが、自然環境で同じ種同士で交配を繰り返しているため、個体差もあります。

 さらにグラウンド横にはニセアカシアや他の所から入り込んで来たクスノキの新芽も見られました

▽ニセアカシア


▽クスノキ
若葉はまだクチクラ層が発達しておらず、透け感があり、淡い琥珀色をしています。


 ここで生徒通用門に戻ります。

 イロハモミジの木を見てみると、葉と一緒に小さな赤色のものがぽつぽつと生えています。これは花の蕾です。「紅葉の秋」に注目されがちなモミジですが、花も可愛らしいですよね。


 イロハモミジの横にはリキュウバイの木があります。

 純白の美しい花がお茶会に飾る植物として非常に好まれたことから、「千利休」から名前を取って「リキュウバイ」という名前になったそうです。


 去年、花が咲く直前の蕾が沢山ついた状態が一番美しいと聞き、楽しみにしていたのですが、始業式の日にはもうほぼ咲いてしまっていました。来年こそはその姿を見たいものです。

 木から一旦目を離して、地面を見ると、そこには可憐な花を咲かせる小さな草本があります。

 このように限界まで近づいて写真を撮ると、改めて密度の高い繊細なつくりをしているなあと思いますね。


 最後に、正門周りの木々を観察しました。

▽カイノキの枝先についている赤いものは、花の蕾です。円錐のような花のつき方をしていて、おそらく4月の下旬には花が見られると思います。


▽カナメモチの若葉も真っ赤です。こちらは新芽にも関わらず既にクチクラ層が発達しており、硬く艶のある質感です。


 このように、植物達もたくましく芽を伸ばしているのをみると、その姿に癒やされるとともに、自分も頑張らねば、と身を引き締める思いになりますね。

 これから、遠足や中間テストなど様々な行事で忙しくなりますし、暑い夏も徐々に近づいてきます。私達も木々に負けずに頑張りましょう。

(文・写真:中3TSUNAGU)