理科部の活動《TSUNAGU》

更新日:2024年12月18日

(この記事はTSUNAGUのメンバーが作成しました。)

 理科部では、1学期から理科室横にあるサクラ(ソメイヨシノ)の弱った個体の治療計画を進めています。
 春には美しい花を咲かせ、夏も青々とした葉で街を彩るこの木は街の景観として重要な役割を果たしています。
 北側と南側の2個体を対象としており、まず初めにそれぞれの詳しい様態および弱りの原因を調べました。
 その結果、大きく分けて3つの病態が進行していることがわかりました。
 ・土壌内の気質(気体の量)の不足があり、根から酸素や水などを吸収することが十分にできず、枝葉の枯れが見られる
 ・付近の建物による日照不足や、その建築時の個体の根茎への損傷、大幅な切断、またそのストレスによる「胴吹き」や「ひこばえ」
 ・枝や幹の一部の腐朽
 そして、次にそこへ向けた治療法を考えていきます。
 原因の一つである「土壌内の気質不足」は、これは根を張っている土壌の踏み硬めや工事によるもので、実際に理科室前には変電施設やコンクリート、マンホールなどの構造物があったり、さらにそれらの上を自転車や人がよく通っています。
 土壌の質感も「土」というよりかは「砂」という感じです。
 これが進行し、樹木が根から十分に酸素や栄養、水分を取り込めず、枝葉の枯れに繋がっています。
 治療方法としては、樹木の周辺の土壌に細い穴を掘り、そこへ縦に切れ目を入れて節を取り除いた竹の束を入れ、さらに穴と竹の間にゼオライトを含んだ堆肥を詰めて周辺の固まった土の通気、通水性を高める「割竹挿入縦穴式土壌改良法」や、土壌に枯葉などを敷きそこへ土壌を豊かにする働きを持つ生物(ミミズ、ダンゴムシ)を導入して土をほぐしてもらう方法があります。
 二つ目の「胴吹き」と「ひこばえ」ですが、これは光合成量の不足のために幹や根から緊急に伸ばした葉のことで、それぞれ幹から伸ばしたものを「胴吹き」、根から伸ばしたものを「ひこばえ」といいます。
 これらが出ていると見苦しいとされ、剪定されてしまいますが、エネルギーが足りなくて出しているものなので樹木は一層弱ってしまいます。

▽大量の胴吹き(南の個体)

 これらの葉の異常(日照不足)や根へのストレスは校舎や変電施設の建築によるものですが、建物自体を取り除く事は出来ないので、今できるだけ個体への負担を軽減することが求められます。
 三つ目の「枝や幹の腐朽」については、その部分を正しく剪定することで解決できます。
 この中でまず出来そうなのは「腐朽している部分の剪定」です。
 7月に樹木医である高橋先生に枯れた枝葉や腐朽している部分を除去してもらいました。

▽腐朽材のようす
 外皮、中心部分が特に進行しているのがわかります。その間の部分で水分や養分の行き来をしています。

これで3つ目の病態は解決されましたね。
次回は土壌の改善に向けた計画についての内容になります。
(文・写真:中2TSUNAGU)