学校案内
学校案内
(この記事はTSUNAGUの生徒が作成しました。)
金木犀の芳しい香りが漂い、涼しい気候も相まって心地良い日が続きますね。
10月11日火曜、金倉川河口と中津海岸で海のごみ拾いと浜辺の植物観察をしました。
ごみ拾いでは、一つ一つ大きさや種類を調べながら拾いました。今回は特に発泡スチロールの容器破片などのプラスチック製の破片が多かったです。さらにヘルメットやドラム缶など、大きなごみも多く見られました。
海岸ということもあり、カニやウニの殻、貝殻など多くの漂流物があり、手にとってみると、色、形、感触さまざまで面白かったです。
ごみ拾いのあとは、樹木医の高橋先生に浜辺の植物について教えていただきました。
まず、浜辺に植えられている樹木の形状の特徴について見ていきました。
浜辺に「アキニレ」(アキニレについての過去の記事はこちら)が植栽されていたのですが、海岸線と平行な位置から樹形をみると、やや陸地側に後ろのめりになっており、枝葉もそちらに偏っていることがわかりますね。これはなぜでしょうか。
▽アキニレ
実はこれは潮風に含まれる塩分によるものなのです。
まず樹木は日当たりの良い海側へ芽を出そうとしますが、それらが潮風によって枯れてしまい、陸地側に残った枝葉だけが育っていきます。
これの繰り返しをした結果、腰を曲げて天を仰いでいるような形の木になっていくのです。ちなみにこのような樹形を風衝樹形(ふうしょうじゅけい)といいます。
次は浜辺に自生する植物を観察しました。
足元をみると、地面に枝を伸ばし、一部を立ち上げた小さな薄紫の花の群生があります。これはハマゴウと呼ばれるシソ科の低木です。
▽ハマゴウの群生
開花期は8〜9月で、花は終わりかけていたのですが、先端についた丸い実も可愛らしく、なにより分厚く反り返った、ふちの分かりやすい質感の葉が見どころです。
少し鼻がスッとする爽やかな香りがあり、蚊除けや御香、平安時代には安眠効果を図って果実を使って枕を作ったりもされたそうです。
コウボウムギも浜辺に自生する植物の一つです。
名前の通り、麦に似た穂が立ち上がっているのが見られました。
花期は4〜5月です。
穂には、軽くて硬い大きな種子が沢山入っていました。
海浜植物の種子は比較的軽くて硬いものが多く、海水によって種子を運ばせるのに役立てています。
▽コウボウムギの穂
葉は細長い平行脈のもの
浜辺に生えていたものの中で一番生育の勢いが良かった種類は、「オオフタバムグラ」というアカネ科の一年草でした。
この種は外来種で、1920年代ごろには東京で定着していたのが確認されていたようです。
▽オオフタバムグラ
外来種としては他に「コマツヨイグサ」などがみられ、可愛らしい黄色の花を咲かせていました。
どちらも生命力が強いのか、やや他の種を押している感じがしました。
▽コマツヨイグサ
海にごみや貝殻があるのは誰でも知っていることですし、浜辺に咲く花も調べればいくらでも画像や説明を手に入れることができます。
しかし、実際に海へ「行って」ごみを「拾って」美しい自然に「触れる」ことでしか得られない実感があり、それを持って考えることで、初めて物事を立体的に見たり、具体的な意見を出す事が出来るのではないでしょうか。
皆さんも、いつもリアリティのある日々を過ごしていますか。なんとなく「分かった」気になって放ったらかしにしている事はありませんか。
これを読んで不安になった人は、まず日常の中にある見知った風景(出来れば自然のもの)を一度じっくりと観察してみてください。そうすると、何もないように思っていたことが何倍も生き生きとして感じられると思います。
(文・写真:中2TSUNAGU)