植物図鑑vol.6《TSUNAGU》

更新日:2024年06月22日

(このページはTSUNAGUの生徒が作成しました。)

 梅雨らしい雨が続く中、モモやスモモが熟れる頃となりましたね。
 先月の5月18日(土)に、6回目となる植物観察会が行われました。

 植物観察会とは、大きな花を咲かせるものから、古代より存在する種の裸子植物まで、ありとあらゆる植物を、本校の英語科教員であり、樹木医でもある高橋瑞貴先生が多様な視点でレクチャーしてくださる会のことです。

 今回は、丸亀城周辺のものを中心に合計6種類観察していきました。
 観察順にご紹介します。

 最初は羽のように葉が集まった、一見シダ植物のように見えるこの植物です。

 これはメタセコイアというヒノキ科の一種で、新世代3世紀(6,500万年前〜200万年前)に栄えていました。
 1939 年、大阪市立大学教授の三木茂博士がセコイアに似たこの植物の化石を発見し、命名しました。のちの1946年に中国で現存種が発見されるまでは、絶滅種と考えられていたようです。生きている化石ですね。
 ちなみに、三木茂博士は香川県三木町出身であり、三木町立三木中学校には1966年に町内から寄贈された木を植樹した「メタセコイアの庭」があるなど、町の記念樹として親しまれています。
 秋ごろには美しい紅葉が見られ、「細長い葉が集まって一つになっている短い枝(短枝)が枝ごと落葉します。
 葉を触ってみたところトゲトゲはしておらず、針葉樹なのか広葉樹なのか迷うところですが、分類上は針葉樹のようです。
 木の周辺の地面を見てみると、何やら小さな松ぼっくりのようなものがたくさん落ちています。

 これはメタセコイアの球果であり、マツの球果(松ぼっくり)よりは二周りほど小さいですが、役割はさほど変わりません。大切な種子を守り、運びます。

 次に私達が目をつけたのは「ニレ」です。
 「ニレ」というのはニレ科ニレ属の樹木の総称で、日本では一般的に3〜4月に花を咲かせるハルニレのことを指します。ですが今回観察したものは秋に花をさかせるアキニレです。
 ここで、葉の形状をよく見てみると、全て完全な左右相称ではないことに気づきます。
 なぜこのような形状にする必要があるのでしょうか。

 これは、効率的に光合成をするための「工夫」だと考えられます。
 全く左右相称の葉が密に並ぶと、必然的に葉同士が重なり、葉の面積にたいして日光が当たる面積が狭くなってしまいます。そこで微妙にアシンメトリーな葉にすることで、パズルのような仕組みでより効果的に日光を葉に当てることができるのです。
 他にも、ヒトの利き腕や臓器の位置など、「あえて左右相称でない型になる」ものは意外にも少なくありません。
 探してみるのも面白いのではないでしょうか。

 クスノキについても説明を受けました。
 古くから縁起の良い木として有名なクスノキ。見どころもたくさんあるのです。
 周りに他の個体がおらず、単独で育った木はこのようになります。

 とても伸びやかで力強いですね。
 ですが、周りに同種の個体がいると、このような姿になります。⇓

 分かりやすいY字型ですね。
 先ほどのものよりは個々のエネルギーを感じないかもしれません。しかし、周りに同種がいることで、その個体が死んでしまっても、その地では種を絶やさず存続することができます。
 群軽折軸というように、個体としては小さくても周りの同種と生きることで、全体として大きな生命力となっているのです。
 さらに同種同士では葉が重ならないように「エチレン」というホルモンを互いに放出し合って枝の生育を調節しています。
 このように、植物もコミュニケーションを行っています。現代、私達人間はインターネットなどを使って間接的にやりとりを行うことが多いです。しかし、実際に相手の顔を見ながらの言葉を使った会話である方が、より思いが伝わりやすいのではないでしょうか。クスノキを参考に私たちの日々のコミュニケーションを見直すのもいいかもしれません。

 葉の形状は、ギザギザとした縁(鋸歯といいます)はありませんが、端が少し波打つ型になっています。
 そしてさらによく観察すると、葉脈の根本の分かれ道の間ににぽつぽつと小さい突起があるのがわかります。

 これは「ダニ室」と呼ばれ、その名の通りダニが大量に入っている小さな部屋です。
 肉食ダニをここに住まわせ、代わりに植物に害を及ぼす草食ダニや菌を食べてもらうという共生関係を築いていると考えられていますが、異論も多くあり、詳しいことはまだ明らかになっていません。


 4つ目は「クスドイゲ」です。
 見て分かる通り大きなトゲが多くついていますね。

 これは葉を食べる害獣から身を守るために枝が発達したものだと考えられます。
 そのため、木が大きく生育してシカなどが葉を食べられない高さになると、自ずとトゲも無くなるようです。
 瀬戸内海の地域では、節分にこのトゲをイワシに刺して鬼除けにする風習があるそうです。想像するだけでもその景観と臭いに圧倒されそうです。
 樹皮は激しい「はがれ」で、トゲも相まって全体的に攻撃的なビジュアルです。
 そこまでしなければいけないなんて、シカ達にとっては余程美味しい葉をもっているのでしょうね。

5つ目は「ホルトノキ」です。

 丸亀城に植わっているこの個体は、大きな空洞があったり、特に太い幹だったり、独特な枝の広がり方だったりと、インパクトがある外観です。どこかオーラも感じます。
 それもそのはず。これは築城当時から植栽されていたもののようなのです。
 時代は遡ること江戸時代中頃、幅広い領域で名を残した学者である平賀源内が紀伊半島で目にしたこの木を実の見た目がそっくりのオリーブと間違え、当時ポルトガルの油と呼ばれていたオリーブ油が採れると思い、自分の本でも「ポルトガル油のとれる木」と紹介してしまいました。名前もそれが由来です。
 丸亀城周辺に植えられているものは、源内自身が植えたのか、その本を見た者達がこぞって植えたのか、明らかではありませんが、ロマンがありますね。
 常緑樹で、古い葉は紅葉して落葉するので、常に一部の葉が真っ赤に紅葉しているのが見られます。

 最後に、街路に植えられているアカメヤナギを見ました。

 ヤナギといえば、葉が枝垂れる「シダレヤナギ」を指すことが多いですが、このヤナギの枝は硬く、しなることはありません。

観察した個体は下の金属の網に幹が乗りかかるほど大きく、迫力がありました。

 植物というものは、酸素を供給するだけでなく、私たちに様々な学びを与えてくれます。
 身近なものであるからこそ、それらの恩恵に気づきにくいのかもしれません。ですから、是非たまには外に出て、植物を観察してみてください。そして、その美しさとかしこさに驚いてください。

(文・写真:中2TSUNAGU)