生徒指導について(コラム)

更新日:2023年03月15日

文部科学省が令和4年12月に「生徒指導提要」を12年ぶりに改訂を行いました。

この「生徒指導提要」は、生徒指導に関する学校・教職員向けの基本書として平成22年に作成され、今回の改訂では、「生徒指導の基本的な進め方」や「個別の課題に対する生徒指導」について特に「未然防止・早期発見」が重視されています。

生徒指導は、一般に問題が起こってからどう対応するか、ということに目が行きがちです。

「生徒指導提要」では、未然防止を図る「リスクマネジメント」と、起こった事象に対して被害を最小限度にとどめながら、その後の中・長期支援や再発防止策を含めた「クライシスマネジメント」の二つに分類して説明がなされています。

例えば、普段から適切な食生活や運動を心がけていれば風邪をひきにくいのと同じで、健康を維持するには、何もしていないように見えて、それなりの努力が必要です。ひとたび風邪をひいてしまうと、それを治すのに仕事や学業を中断し、病院に行ったりする必要があり、治ったといってもしばらくの間は身体が思うように動かないこともあります。

つまり問題が起こっていないときに適切な予防を行い続けることが、学業等に集中するための最善の策ということになります。

もちろん子どもは様々な失敗をしながら成長していくので、失敗を許容しない、というものではなく、問題が起こった時には、解決策や再発防止策を一緒に考えていくことも大切です。

「生徒指導提要」には、未然防止・早期発見・初期対応(被害の最小化)・中長期支援・再発防止策の検討について記述されており、繰り返しになりますが特に「未然防止」を重視しているところに特徴があります。

これらを実践するために「生徒指導提要」で最も重視されているのが、生徒・保護者・教職員・地域のコミュニケーションと連携です。これは当たり前のことかもしれませんが、当たり前のものであるからこそ、普段意識されないものでもあります。

学校では、人と人がコミュニケーションをとることによって学んでいきます。裏を返せば、人と人とのコミュニケーションがないところに危機が潜んでいるということになります。

学校の教員に求められている能力のひとつは「コミュニケーション能力」なのかもしれません。

<まとめ>

文部科学省が発行する「生徒指導提要」=生徒指導に関する学校・教職員の基本書

生徒指導で特に重要なのは、「予防」と「コミュニケーション」