学校案内
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東京大学入試問題「国語第一問(評論文)」
東京大学の現代文(評論文)の入試問題の設問は、基本的に2000年以降、以下のような形式をずっと維持しています。
①「〜とはどういうことか、説明せよ。」
②「〜とはなぜか、説明せよ。」
③「〜とはどういうことか(〜とはなぜか)、全体の論旨に即して100字以上120字以内で説明しなさい。」
④漢字の書き取り
東京大学の入試問題というと、難問・奇問であると思われがちですが、設問の形式も上記のように非常にシンプルなものになっています。文章量もそれほど多くはありません。試験本番では文系の場合、40分程度の時間を配分することができ、時間的な余裕もあります。驚いた人もいるかもしれません。
東京大学のアドミッションポリシーにも「東京大学の入試問題は、どの問題であれ、高等学校できちんと学び、身につけた力をもってすれば、決してハードルの高いものではありません。」と書かれています。
しかし、誰もが東京大学の入試問題を解くことができるわけではありません。
東京大学のアドミッションポリシーには次のようにも書かれています。「入学試験の得点だけを意識した、視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人」を歓迎しない、ということがはっきりと書かれています。では、どのような人を東京大学は求めているのでしょうか。それは、「学校の授業の内外で,自らの興味・関心を生かして幅広く学び、その過程で見出されるに違いない諸問題を関連づける広い視野、あるいは自らの問題意識を掘り下げて追究するための深い洞察力を真剣に獲得しようとする人」だということが書かれています。
つまり東京大学の入試問題は、受験テクニックでは解けず、本質的な学問を志す人が解くことができるように作られているということです。
では、学問の本質とは何なのでしょうか。東京大学の現代文の入試問題にヒントが隠されています。学問の本質とは、「どういうことか」「なぜか」ということを問い続ける、ということです。
例えば、私たちは当たり前のように「学校」に通っています。ここで質問ですが、「学校とはどういうものですか?」もしくは「学校になぜ通わなければならないのですか?」という問いに明確に答えられる人はどのくらいいるでしょうか。
東京大学の入試問題の難しさは、自分なりの問題意識をもち、それを「どういうことか」「なぜか」と追求し続けた経験そのものがあるかどうかを試されるところにあります。さらに東京大学の解答欄は、縦約13.5㎝×2行と短く、余計なことを書くことは許されず、端的に本質のみを記述する表現力も求められているところにも難しさがあります。
東京大学の現代文の入試問題の文章の中身についても触れておきます。
「科学」「芸術」「言語」「環境問題」「演劇」「舞踏」「戦争」「教育」「存在」「旅」「都市」「自然」「時間」「歴史」「死」「身体」「文学」「心」「宗教」「倫理」・・・・
東京大学の入試問題では、人間が人間である以上、人間が絶対に避けて通ることのできないテーマが出題されます。先ほどのアドミッションポリシーにもあったように、幅広い分野について、「なぜ」「どういうこと」と深く探求した人でなければ、問題を解くことはできません。
これは東京大学に限らず、国公立大学の二次試験で受験生に求められる力です。またこれは入試問題に限定されるものではなく、入学以後にも、そして社会人になってからも必要とされる本質的な力となります。
<まとめ>
私たちが学校教育・入試問題を通して大学入学までに身につけなければならない力。
人間が避けてとおることができない問題について自分自身と関連付けて、「どういうこと?」「なぜ?」と問い続け、解決策を求めること。