失敗!!②(コラム)

更新日:2022年12月15日

学習とは「失敗し続けること」というお話を前回させていただきました。

例えば、プロサッカー選手。ゴールを決めた割合とゴールを外した割合を考えれば、圧倒的に外した割合の方が大きいと思います。プロ野球選手の打率や、プロバスケットボール選手のシュート成功確率にしても同様です。プロフェッショナルと呼ばれる一流の人たちも、多くの失敗をしています。

失敗をしても、それを続けるところに学習が成立します。

畑村洋太郎さんは「失敗学」という学問の提唱者ですが、彼の著書によれば、失敗から学ぶためには、ただ失敗をすればよいというものではなく、「失敗の原因を分析して解決策を考える」ことが必要です。

失敗には10の原因があるそうです。

①未知→誰もが知らなかったことなので責任追及ではなく、未知による失敗は「成功の母」として扱う。
②無知→勉強するしかない。
③不注意→体調不良、過労、多忙などが原因となるので、しっかり休む。
④手順の不順守→手順を守る、どの手順で失敗したのかを検証する。
⑤誤判断→さまざまな要素を考え、頭の中で仮想演習を行う。
⑥調査・検討の不足→調査・検討を十分に行う。
⑦制約条件の変化→置かれている環境や条件を絶えず点検する。
⑧企画不良→企画そのものに不備があるため、失敗を繰り返す。企画そのものを作成しなおす。
⑨価値観不良→組織の外部の価値観を取り入れる。
⑩組織運営不良→組織そのものの構造的な不良であるため、組織リーダーによる改革が必要。

失敗をしてしまったときに、ただ落ち込むのではなく、失敗の原因がなんであるのかを考えられると、それが学習につながり、できることがどんどん増えていきます。できるようになった自分を想像するとわくわくしますね。プロフェッショナルと呼ばれる人は、失敗の原因を意識的に深く細かく分析して、それを学習へと変えています。

学校は学習の場ですから国語や数学などの教科を学習することはもちろんですが、学習の仕方(=失敗からその原因を探して改善する方法)そのものを学ぶことも大事です。正解を求めることに目が行きがちになりますが、失敗を恐れずに、失敗から「原因」を分析することの楽しさを、生徒のみなさんと共有できればと思います。