職員研修「いじめ予防」その2

更新日:2022年10月18日

「子どもの発達科学研究所」の所長である和久田学氏の著書「いじめの科学」を基調として、「いじめ予防」に関する職員研修を行いました。

子どもの発達科学研究所は大阪大学など5大学が設立した公益財団法人で、研究所が実施する「いじめ予防プログラム」の研修を受けた教員が本職員研修を担当しました。

「いじめ」を予防するには「科学」が必要となります。科学というと理科実験のようなものを想定されるかもしれませんが、ここでいう科学とは「客観的=誰もが理解し、判断できる」という意味です。

「いじめ」は、多くの人間関係や複数の要因があって、その実態や原因が捉えにくい特徴があります。そこで国内外の研究者が行っている客観的な研究に基づいて、ひとつひとつ紐解いていく必要があります。

和久田氏の著書には、いじめ予防には「シンキングエラー」と「アンバランスパワー」の考え方が重要であると書かれています。

「シンキングエラー」とは、「共感性のなさに基づく間違った考え」のことです。いじめの加害者は間違った考え方によっていじめを正当化し、自分がいじめをしているという認識をもつことができません。

「アンバランスパワー」とは、「力の不均衡」で、簡単に言うと、「被害者は加害者にやり返すことができない。被害者は助けを求めることができない状況に陥っている。」ということです。被害者は、さまざまな要因によって、助けを求めることができない状況になっています。もちろんそれは被害者本人の責任ではありません。

和久田氏は、「シンキングエラー」と「アンバランスパワー」の二つが存在する場合、加害者は自分の行為が「いじめ」であると認識できずにエスカレートし、被害者は助けを求めることができずに深刻な状態となることを指摘しています。

そこで「いじめ」を予防するためには、この「シンキングエラー」と「アンバランスパワー」を解消するような対策をとることが重要となります。